CONTRACT FARMING
契約栽培
台湾は人口密度が高く、このごろの都市部と農村部の急速な発展に伴い、多くの農村では人口の流出により農地が徐々に荒廃してきています。百年もの間、員林食品はこの地に根をおろし、成長し、繁栄してきました。仙草が世代から世代へと受け継がれ、仙草が安穏な暮らしをもたらしてくれました。次の百年はこの大地からもらった恩恵を大地に還元するという理念に基づき、2017年に台湾の苗栗(びょうりつ)県銅鑼(どうら)郷と契約栽培という形で、員林食品向けの仙草とともに台湾という地への感謝の気持ちも植え付けました。
苗栗県銅鑼郷は仙草の栽培に適した環境であることに加え、現地の農家は仙草栽培の経験があります。契約栽培により農家の収入が安定し、仙草の品質も向上します。さらには、より多くの農家に、当社の取り組みを周知し賛同を得て、仲間に加わっていただくことを考えています。産学連携と研究開発を通じて、苗栗県銅鑼郷産の仙草を差別化できる特色あるブランド農作物とすることを目指します。農村から流出した人材が帰郷して耕作に取り組むことを奨励し、農村の発展を活性化させ、農業が台湾に新たな栄光をもたらすようにします。
このような天気は、私が知っているものとは異なりました。本来の季節変化の順序がかなり乱れていました。清明(4月初旬)の雨の多さは、本来、仙草の植え付けに適しているはずですが、高温と低温が繰り返され、気温が安定せず制御できない値になりました。土地の乾燥と湿気は仙草の生育に大きく関わり、苗の植え付け時期の気温は成長を大きく左右します。日常の中のわずかな変化のように、たとえば人が洋服を一枚重ねる時と一枚脱ぐ時の気温の違い程度であっても、育つ仙草が違ってきます。
2017年3月29日、かつて仙草の生産を誇っていた苗栗県銅鑼郷に、台湾の各地から大勢の人が集まりました。生産・販売体制の変化により、仙草栽培は次第に衰退していきました。「百年仙草」の員林食品は、四世代にわたり継承され、心を込めて仙草にこだわってきました。長い時の流れの中で自然にこの土地への感謝の念が育まれ、土地の力を信じて、苗栗県銅鑼郷の仙草の栄光を再び取り戻そうと考えました。この活動は、張家の四代目である息子の思いと三代目の父親のサポートで始まりました。インタビュー撮影では、話されていたちょっとした話題でも拍手が起こり、共感を呼びました。仙草によって育まれた員林食品が、銅鑼という土地に対して恩返しができるということは百年企業の誇りです。員林食品は「大事」に着実に取り組んでいきたいと考えています。いわゆる大事とは、契約栽培の最終目標である「土地に優しい取り組み」、「二酸化炭素排出削減」、「若者の帰郷耕作奨励」の実現であり、これらは多くの人の生活とも密接に関わっています。この活動を、周辺から、土地から、隣近所から、仙草から、父親の子供のころの記憶から、仙草を買い付けた原産地の銅鑼から始めます。銅鑼は張家親子の郷里ではありませんが、銅鑼は台湾の一部です。その気持ちは員林食品の四代目が笑みを浮かべながら次のように語ることと同じです。「未来のことは予測できません。しかしながらこの土地で員林食品が力を尽くしたことは栄誉なのです」
員林食品銅鑼仙草記録第二章節
西日が射す畑では、午後5時になっても太陽は焼け付くように照りつけます。仙草は極暑や暴風雨の中で生命力を発揮します。「仙草は扱いにくい」と、お年寄りは言います。水が溜まらないように畑の土は高く盛らなければなりません。水が多すぎると根腐れを起こしてしまい、水が少なすぎると枯れてしまいます。細部にまでこだわり、経験がなければ、「個性」のある仙草が言うことを聞いてくれるはずがありません。
こだわりを持ち続けるためには忍耐力が必要です。理念の実現とより多くの人の賛同を得るためには挫折も経験します。契約栽培には有機肥料を使用するという契約事項があり、これが皆を苦しめました。有機肥料の量が土壌の質に影響を与え、仙草の成長にもかかわります。これは今まで仙草を栽培してきた中で、経験したことがありませんでした。有機肥料を使うことは土地に対する優しい取り組みであるものの、有機肥料を使う場合にはこだわりと忍耐力が試されます。契約栽培の先駆者はこれに覚悟をもって取り組んでいます。実際の利益を理想が大きく上回って苦しんだ時に、集結した力は必ず方向性を導き出してくれます。
私たちの仙草記録の第二章節からわかるように、契約栽培に対する取り組みの姿勢が多雨と高温によって試されています。多雨高温という過酷な環境にもかかわらず、汗を流して作業する農家の方の姿に、契約栽培に対する情熱と支持を見ることができました。
仙草は人間と同じで、育てるには自然にめぐる時間だけでなく人と人との和も不可欠です。
ブランドの価値を打ち出す力や製品パッケージ等のデザインの芸術性を高めることができたのは員林食品に関わる人々のチームワークによるものです。
収穫するその時に、私たちの初志が試されます。銅鑼で契約した全ての畑から収穫した仙草を、第三者検査機関に送り検査します。化学肥料や農薬を使用しないで育てられた一株一株の仙草は、私たちの理念や歩んできた道が確かだということを示しています。その思いは日を追うごとに深まりました。
員林食品銅鑼郷新鶏隆の契約栽培 収穫記録
時代は変わってきており、それでもまだ理想から離れた世界を変えるにはほど遠いかもしれません。しかし、契約栽培により二酸化炭素の排出を削減して土地に優しい取り組みを行う、この一連の活動に賛同と応援を得たその成果が、収穫した仙草に現れます。その背後では、私たちが行動を変えたことが、誠実さや安心に結びつきました。
員林食品_契作企劃_銅鑼 A
員林食品_契作企劃_銅鑼 B